映画「国宝」を観る前に知っておきたい情報


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こんにちは、橋本はじめです。

この度、映画「国宝」を観てまいりました。事前知識を各PVで入れていたものの、自分的にもう少し把握したうえで観たほうが良いのではと思いましたので、今回は観る前に知っておきたい情報を記載いたします。

間違えやすい部分や知っておくことでより作品を楽しむことができる箇所には蛍光ペンを引いております。

歌舞伎とは

歌舞伎とは、江戸時代に誕生し、約400年以上の歴史を持つ日本の伝統的な演劇です。大げさで様式化されたセリフ回し、豪華絢爛な衣装、そして「隈取(くまどり)」と呼ばれる独特の化粧などが特徴で、音楽(唄や三味線など)、舞踊、芝居の3つの要素が一体となって構成されています。

歌舞伎の主な特徴

現在、歌舞伎の舞台に立つのは男性の俳優のみです。女性の役は女形(おんながた)と呼ばれる、女性役を専門とする男性俳優が演じます。その仕草や声は、女性以上に女性らしいとさえ言われるほど洗練されています。
※女形の説明は映画中にあります。

キャスト

回想シーンもあり、役者が入れ替わるのでどの方がどの役なのか頭に入れておくと良いと思います。

特に女性は複雑に出てくるため、それぞれの人物を押さえておくと良いでしょう。
春江彰子藤駒の3人です。

①立花権五郎 / 俳優:永瀬正敏

喜久雄の父であり、長崎の立花組の組長。

②立花マツ / 俳優:宮澤エマ

血はつながっていないが後妻として喜久雄を育てる。

花井半二郎 / 俳優:渡辺謙

喜久雄に芸の道を厳しく教え込む、孤高の歌舞伎役者。喜久雄の才能を認めつつも、その在り方に苦悩する。

⑤大垣幸子 / 俳優:寺島しのぶ

歌舞伎役者の妻として、俊介を支える。息子の成功を願いながらも、その過酷な運命に心を痛める。

春江 / 俳優:高畑充希

喜久雄の幼馴染。長崎から喜久雄を追って大阪まで行く。

背中に入れ墨がある。

⑩竹野 / 俳優:三浦貴大

歌舞伎界の重要人物。彼らの成長に影響を与える。

⑫万菊 / 俳優:田中泯

作中において「人間国宝」にまでなった伝説的な女形。

登場作品

映画中、花井半二郎や俊介、喜久雄が演じるシーンが何度か出るのですが、作品の概要を知っておくと理解が深まります。

積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと) 通称:関の扉(せきのと)

  • 物語の序盤、まだ少年時代の喜久雄がその才能を見出されるきっかけとなる重要な演目です。

二人藤娘(ににんふじむすめ)

  • 成長した喜久雄(吉沢亮さん)と俊介(横浜流星さん)が競い合うように舞う、華やかで美しい舞踊です。二人の関係性を象徴する場面として描かれています。

連獅子(れんじし)

  • 花井半二郎(渡辺謙さん)が親獅子を演じます。芸の厳しさや親子の情愛がテーマとなる、力強い舞踊です。

鷺娘(さぎむすめ)

  • 人間国宝である小野川万菊(田中泯さん)が舞い、喜久雄に強烈な衝撃を与える女形の大曲です。後に喜久雄自身もこの大役に挑みます。

二人道成寺(ににんどうじょうじ)

  • こちらも喜久雄と俊介が二人で挑む大曲で、高度な技術と表現力が求められる舞踊劇です。『藤娘』とはまた違う、二人の緊張感あふれる舞台が印象的です。

曽根崎心中(そねざきしんじゅう)

  • 喜久雄が女形の才能をさらに開花させていく中で演じる、近松門左衛門作の世話物です。登場人物の運命と喜久雄たちの人生が重なるように描かれます。

この作品に関しては、ストーリーと人物を知っておくことでより楽しめるかと思います。
江戸時代の劇作家・近松門左衛門(ちかまつもんざえもん)によって書かれた人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)、そして歌舞伎の演目です。実際に起きた心中事件を元にしており、当時の人々から大きな人気を博しました。

登場人物

  • お初(おはつ): 堂島新地(どうじましんち)の遊女。
  • 徳兵衛(とくべえ): 醤油屋の手代(店員)。お初とは将来を誓い合った恋人同士。
  • 九平次(くへいじ): 徳兵衛の友人を装う、悪人の油屋。

あらすじ

1. 恋人たちの誓いと、迫りくる障害
大坂の醤油屋で働く真面目な青年・徳兵衛と、遊女のお初は固く愛を誓い合った仲でした。しかし、徳兵衛の叔父は、自分の姪と徳兵衛を無理やり結婚させようとします。徳兵衛がこれを断ったため、叔父は激怒。徳兵衛は勘当され、仕事も失いそうになります。

2. 友人の裏切り
窮地に陥った徳兵衛の元に、友人の九平次が「どうしてもお金が必要だ」と泣きついてきます。人の良い徳兵衛は、叔父から返してもらった結納金(結婚の準備金)を、必ず返すという約束で九平次に貸してしまいます。 しかし、約束の日になっても九平次は金を返しません。それどころか、「そんな金は借りていない」と開き直り、偽の証文を突きつけて徳兵衛を詐欺師呼ばわりします。皆の目の前で徳兵衛は打ちのめされ、お金だけでなく、命よりも大切な信用と誇りをすべて失ってしまいます。

3. 死への決意
生きる望みを失った徳兵衛は、お初のいる天満屋の縁の下に身を潜めます。
お初が一人でいると、そこへ九平次が仲間と現れ、徳兵衛を散々に罵り、いかにお金を騙し取ったかを自慢げに語ります。全てを聞いたお初は、徳兵衛の無実と、もはや心中するしか二人の潔白を証明する道はないことを悟ります。お初は徳兵衛の覚悟を確かめるため、そっと自分の白い足を縁の下に差し入れます。それに気づいた徳兵衛は、そのお初の足を取り、自らの喉(喉仏)にぐっと押し当てます。
これは、「お前の手(足)にかかって死ぬ覚悟はできている」という徳兵衛の固い決意を、お初に伝える無言の合図です。

4. 悲劇の結末 「道行(みちゆき)」
店を抜け出した二人は、手に手を取って夜の道をさまよいます。これが有名な「道行(みちゆき)」の場面で、この世の名残を惜しみながら、来世で結ばれることを誓い合います。 そして、曽根崎の森に着くと、徳兵衛はお初を刀で刺し、自らも後を追って命を絶ちました。

さいごに

映画国宝は実写邦画映画で興行収入で歴代2位(2025年9月20日時点)にランクインしているほど、大変、注目されている映画です。

映画館で観ることができるのは上映の数か月になるかと思います。

ぜひ、劇場でご覧ください!

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